スピンコーティング(Spin coating)

  

スピンコーティング(Spin Coating)は、基板上に均一な薄膜を形成するための一般的な技術です。この方法は、半導体製造や薄膜デバイスの作製に広く使用されています。

現在の半導体製造(フォトリソグラフィ工程)におけるウエハ上への薬液の塗布では大部分がこのスピンコーティングによるものです。

 

スピンコーティングのプロセス

  1. フォトレジストの滴下
    • 方法: 基板(通常はシリコンウェハー)の中央に少量のフォトレジスト液を滴下します。
  2. スピン
    • 回転: 基板を高速度で回転させます。回転速度は通常1000〜4000 rpmの範囲です。
    • 遠心力: 回転によりフォトレジストが基板全体に広がり、遠心力で余分なフォトレジストが基板の外縁から飛び出します。
  3. 膜厚の制御
    • 回転速度と時間: 回転速度が速いほど、また回転時間が長いほど膜厚は薄くなります。逆に、回転速度が遅いほど、回転時間が短いほど膜厚は厚くなります。膜厚が薄い条件では回転中にフォトレジストの溶剤の大部分は乾燥します。
  4. 乾燥
    • ソフトベイク: 回転が終了した後、基板を低温で加熱してフォトレジストの溶剤を蒸発させ、乾燥させます。

  

スピンコーティングのメリット・デメリット

メリット

 

  • 均一な膜厚: スピンコーティングは、高い均一性の薄膜を得ることができます。
  • 簡便さ: 短時間でプロセスが完了するため、製造時間が短縮されます。
  • 制御性: 回転速度や時間を調整することで、膜厚を精密に制御できます。

  

デメリット

 

  • 薬液のロス: スピンコーティングは、滴下したフォトレジストの大部分が遠心力により基板の外縁から飛び出すため、他の塗布方法に比べてロスする割合が高く、80〜95%と言われています。そのため、ウエハ1枚あたりのレジスト使用量は多くなります。
  • 基板の制約: スピンコーティングは小さな基板やウェハーには適していますが、大面積の基板には適用が難しいです。また、基板の形状が平坦でない場合、均一なコーティングが難しくなります。

  

スピンコーティングの用途

  • 半導体製造: フォトレジストの塗布や薄膜形成に使用されます。
  • 薄膜デバイス: 光学コーティングや有機エレクトロニクスの製造に適しています。
  • 研究開発: ナノテクノロジーやマイクロエレクトロニクスの分野で広く利用されています。

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